自前のWebサイトを持つメリットは何か? | Webマーケティング入門 chap.4.0

自前のWebサイトでなくてもWebで情報発信はできる」なら自前のWebサイトなんか必要ないじゃん、と思われるかもしれませんが、自前のWebサイトにも当然メリットはあります。今回は自前のWebサイトのメリットについてお話していきます。

ハードルも高いが自由度も高い

前記事の中で「自前のWebサイトはハードルが低いとは言えない」と言いましたが、そのハードルを超えられるのであればそこにあるのは自由度の高い世界です。

検索エンジンという強力な集客ツールを味方につけることができる

Webサイト=SEOという人もいるくらい、GoogleやYahoo!といった検索エンジンはWeb集客において非常に強力なツールです。

<※「SEOって何?」という方はこちらをご覧ください>

店舗名や商品名で直接検索するのであればどのようなサービスを利用していてもそれなりに検索結果に表示されます。しかしあなたが広島のお好み焼き屋さんだとして「広島 お好み焼き」で検索した場合、検索結果で上位表示されるのは口コミサイトや他の店舗ばかりであなたのWebサイトはなかなか表示されません。

※広島在住なので例えに広島関係の例えがしばしば出てきます。

無料ホームページサービス等の場合この傾向は強く、上位表示されることは困難です。TwitterやInstagramの投稿やつぶやきもSNS内で検索されることはあっても検索エンジンで直接表示されることは稀です。

自前のWebサイト、特にWordPressというホームページ作成ツールで作ったホームページはきちんとした対策を施せば検索エンジンで上位表示を目指すこともできます。

検索上位で表示されるためにはライティング技術を体得して競合との凌ぎを削ったり、競合しないキーワードを探してそちらで上位表示を目指すなど色々手を尽くさなければいけませんが、同じ労力をかけるのであれば他のサービスよりはWordPressのほうが(SEO対策が行われているWordPressテーマのほうが)結果が反映されやすいです。

他のWebツールとの親和性が高い

SNSの記事でも書きましたが、SNSは拡散・共有には強いけど常に情報が流されていくという特徴があります。しかしSNSから自前のWebサイトに誘導できれば「流れない」情報をじっくり見てもらうことが可能です。これは動画でも同じことが言えます。

またSNSや動画をWebサイトにはめ込むことで、SNSを更新すれば自動的にWebサイトのコンテンツが更新されたように見せたり、文字だけのサイトに動きを持たせることも可能です。

Webサイトは他のWebツールからの着地点にもなるし、逆にWebツールを取り込んで発信することもできます。様々なツールを取りまとめた母艦のような役割が期待できるのです。

Webマーケティングには自分が情報を発信する場所=オウンドメディア、SNSなどの自分以外の人が情報を発信してくれるアーンドメディア、Web広告やECモールやポータルサイトなど有料で出稿するペイドメディアという3つの要素があり、これを組み合わせることが有効とされています。オウンドメディアとして自前のWebサイトを構築して他のメディアを内包させたり繋げたりすれば、それぞれの対策を独立させるより効果は大きくなるでしょう。

無料ホームページサービスの場合、他のツールの埋め込みなどが難しい場合があります。可能なものもありますが、ツールやサービスを選択する自由が制限されます。「何をしてもOK」なのが自前のWebサイトの強みなのです。

GoogleAnalyticsやGoogleSearchConsoleなどの分析ツールを活用しやすい

情報を発信するほうのツールではなくWebサイトの効果を測定するためのアクセス解析や検索キーワードなどを分析するツールにGoogleAnalyticsGoogleSearchConsoleがあります。

Webで集客するメリット・デメリットは何か?」の中でWeb集客は効果が数値化されてかけたコストに対して効果を正確に評価することができると書きましたが、この数値測定のために有効なのがこれらのツールです。

SNSにもTwitterのアナリティクスやFacebookページのインサイトなど数値を測定することができるツールがありますし、無料ホームページにもアクセス解析機能があるものもあります。

しかしGoogleAnalyticsは、例えば閲覧している人がどの地域からどの時間帯にどんなデバイスからアクセスしているのか等のより詳細な情報を取得・分析することができます。またGoogleSearchConsoleはWebサービス内部に入ってきてからの情報(インサイト情報と言う)でなく、Google検索で表示されるキーワードの順位や表示された回数、そこからクリックされた回数など「Webサイトに入る前の情報」を把握することができるのです。

一部無料ホームページサービスでもGoogleAnalyticsやGoogleSearchConsoleを使用できるものはありますが、こちらも利用可能なサービスの制限があります。Web集客に本気で力を入れたいのであれば、効果の数値化を詳細に行えるGoogleAnalyticsやGoogleSearchConsoleが自由に使える自前のWebサイトが適していると言えます。

ECカートなどを付け足すこともできる

SNSなどの他の情報発信ツールやAnalyticsなどの効果測定ツールだけでなく、Webサイト上で直接販売が行うためのECカートなどの「Webサイトそのものの機能」を付け足すこともできます。

以前にECモールの話もしましたが、自前のWebサイトにECカートを付ける場合は「ここでしか買えない」価値を提供することができますし、商品や売り方にもよりますが注文を受け付けてから受注生産することもできます。

ECモールでは予約だけして購入されなかったり、決済だけして商品が発送されなかったり等のトラブルを避けるために、注文受付から発送までの期間に制限がある場合があります。期間内の発送が困難な場合、一旦「在庫なし」にしなければならず、販売機会を逃すことになります。オーダーメイドや生産数に限りがある商品の場合、注文を受け付けて生産でき次第発送するような柔軟性のある組み合わせが可能なのも自前のWebサイトの強みと言えるでしょう。

ブランディングへの寄与

ブランディングって何?

ブランディング」というマーケティング用語があります。簡単に説明すると、「お店の名前や商品名やロゴだけで、そのお店の特徴や提供する商品の価値や得られる体験を連想できる状態にすること」です。

例えば製品にリンゴマークのロゴが付いているだけで、それを見た人は「これはAppleの製品なんだ」と認識して「Appleの製品ということは何か先進的な体験を提供してくれるものなんだろう」と連想することができる、のような状態がブランディングの例です。

「私のお店や商品にブランド品みたいな価値は無いし…」と思うかもしれませんが、ブランディングは高価なものだけに必要なものではありません。提供する価値が他とどう違うのか、どういうこだわりがあるのかを伝えることが重要なのです。

きちんとしたお店・企業だと思ってもらえる

ブランディングと呼べるかどうか微妙と思えるような小さな効果から説明します。

例えば無料のブログサービス(Amebaブログやエキサイトブログ)が「公式ホームページ」だった場合、「デザインがダサい」、「古臭い」、「時代に取り残された流行らない店」のように思う人も中にはいます。またブログ形式のWebサイトは最新情報が上位に表示されるため情報を体系的に提供しにくいという特性もあります。「今日は〇〇さんがいらっしゃいました!」のような記事がトップにきて、肝心の商品や値段や店舗の場所の紹介が前面に出しにくいレイアウトになりがちです。レイアウトに手が加えられればこれを改善することもできますが、無料サービスにはレイアウトの変更が限定的にしか行えないものもあります。

Facebookページも同様に手を加えられる部分は少ないですが、ある程度商業ベースに載せられるような構造を最初から提供してくれています。しかしレイアウトは画一的でタイトル画像以外はどの店を見ても同じレイアウトになります

自分のお店や商品、ビジネスの情報をきちんとした体裁で提供することに労力が割けるという意味で、自前のWebサイトを整備できる=きちんとした事業者であるということを表明することに繋がります。無料ブログやFacebookページを利用している人がきちんとした事業者でないという意味ではなく、人によってはそういう印象を受ける人もいるという程度なのですが、どうせなら多くの人に良い印象を持ってもらいたいのが人情というものです。

また自前のWebサイトを作成する場合、ドメインも併せて取得することになります。無料ブログサービスだとURLはそのサービスのドメインを含む文字(はてなブログであれば「xxxxxx.hateblo.jp」で、xxxxxxの部分だけ自分で決められる)になりますが、自前のWebサイトはあなただけのドメイン=独自ドメインになります。自分専用のドメインでWebサイトを運営するには額の過少はあれど費用がかかりますから、これも「きちんとした事業者」を印象付ける要素になります。

直接Webサイトについてではありませんが、レンタルサーバ + 独自ドメインを使うと、そのドメインでメールアドレスを取得することができます(このサイトのドメインであれば「~@brighter-stories.net」のようなメールアドレスになります)。

私はこれまでフリーのコンサルタント(Web系もビジネス系も)に何名かお会いしましたが、中には名刺に「~@gmail.com」のようなフリーのメールアドレスを書いている人がいました。フリーのメールアドレス=すぐ捨てられるメールアドレスですから、本題に入る前の時点で「名刺に堂々とフリーメールアドレス書くって、この人大丈夫かな?」と思ってしまいました。信用を何よりの資本とするコンサルタントのような業種でこれは致命的です。

かといって「きちんとした事業者と思ってもらいたい」ためだけに自前のWebサイトを作るのは禁物です。Webサイトを作らなければ印象を気にする必要もありません。

独自ドメインでメールだけ利用できるサービスもあるので、先ほどのコンサルタントのような例の場合はそれを使うこともできます。格安で使えるメールサービスならさくらのメールボックスがお勧めです。年1,000円くらいで使えてGmailなどに連携させておけば容量の心配もさほどありません。

こだわりや価値観を共有する情報を作りこめる

私が住んでいる広島という街はいたるところに赤いものが溢れています。赤はご存じ広島東洋カープのチームカラーです。青いはずのローソンの看板まで赤くしてしまいます(西宮には阪神カラーのローソンもありますが、赤いローソンのほうが先のようです)。私自身もカープファンではありますが、他地域からは異様に写るほど赤に染まった街です。

この赤はまさに「こだわりや価値観の共有」の一つの事例です。赤を見れば相手はカープファンだとわかり、ファン同志であることに親近感を持つことになる。広島の街において、赤は相手と同質の価値観を持っている事を表明するブランドカラーなのです。

例えば木の工芸品を扱うWebサイトのデザインが蛍光色や原色をメインにしていたらどう思いますか?木目調や茶系の色をメインのデザインにしたほうが扱っている商品のイメージが伝わりやすいですよね。

激辛ラーメンの店のWebサイトのトップ画像は真っ青な青空より真っ赤な炎のほうがしっくりくるだろうし、おしゃれなヘアサロンのWebサイトの文字フォントがMSゴシックだったらがっかりします。

Webサイトのデザインと店舗や商品・サービスのイメージをリンクさせることはブランディングにとって重要な要素です。

高級なのか、激安なのか。
都会的なのか、牧歌的なのか。
スタイリッシュなのか、パワフルなのか。
未来的なのか、懐古的なのか。

お客さんの求めている価値=Webサイトが訴求するイメージ=お店や商品・サービスの価値がきちんと繋がることで、お客さんはWebサイトを見ただけでお店の価値観や提供している商品、得られる体験を連想できる状態にすることができ、実際に来店・購入した時も期待通りのものが得られた満足感を得ることができます。

お客さんのこだわり・価値観とお店のこだわり・価値観を繋ぐ役割をWebサイトに持たせようとすると、「こだわりや価値観の共有」を意識した作りこみが必要です。そのためには出来合いのサービスを使うよりも自前のWebサイトを一から構築したほうがより強い「こだわりや価値観の共有」を得られるでしょう。

強いこだわりをWebサイトに盛り込むのは良いのですが、メディア広告と比較したら安価とはいえWebサイト構築もお金をかけようと思えばどこまででもかけられますし、こだわりのWebページも見に来てもらえなければその情報もお客さんに届きません。

まず認知に注力するべきだし、全ての業種・業態に自前のWebサイトが最適な手段ではないということはこれまでの記事でも書いてきました(読んでいない方は以下の記事及びそこからリンクされている個別記事をご参照ください)。

自身のビジネスにとってWebサイトがどれくらいのウェイトをかけられるものなのかという前提を見誤って、Webサイトに全力をぶつけてしまったのに期待した効果が得られなかったということにならないようにご注意ください。

自前でWebサイトを作成するのは安上がり?

「制作会社に頼んだらお金がかかるから自前でWebサイトを作ろうとしてこのサイトを見に来てるんじゃねえか、早く作り方教えろ!」という方もいらっしゃるかもしれません。

はたして自前でWebサイトを作成するのは安上がりでしょうか?

Webで集客するメリット・デメリットは何か?」のデメリットを読んでいただいた方には繰り返しになりますが、事業者にとってお金と時間と労力はほぼ同価値だと考えると、あなたがお金を節約するために時間と労力をかけて作ったWebサイトは、同じ時間と労力をかけて本業の商品・サービスを作った時と同じもしくはそれ以上の効果をあなたのビジネスに与えられるでしょうか?

一時的には恐らくコストに見合わないでしょう。しかしWebサイトを作る目的を明確にして、集客の仕組みを理解した上で、拙いなりにもWebサイトを構築・運営し続けることでそのノウハウを身に着けることができるのであれば決して無駄な労力ではありません。

自前のWebサイトを作ることのメリットはお金を掛けずにWebサイトを作れることではなく、実地でWebマーケティングやWebサイト構築・運営のノウハウを身に着けることができることだと思います。これを身に付ければ、後に制作会社やコンサルタントにWebサイト運営を委託しても、相手が適当なことを言っていてれば看破することができますし(私がここで書いていることも一蹴されてしまうかもしれません)、自身のビジネスの新たな展開(例えばEC運営や受託販売等)のイメージが沸きやすくなるかもしれません。

その意味では架空のWebサイト構築を学んで理解した気になるようなプログラミングスクールよりよっぽど実践的で安上がりです。

先の記事でも書きましたが、Webマーケティングに正解はありません。一つ一つの事例がその人にとっての正解です。自分の正解を自分で掴み取るためには、自力でWebサイトを構築・運営するのは一番の近道ではないかと思います(その余力があればですが)。


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