Webで集客するメリット・デメリットは何か? | Webマーケティング入門 chap.2.0

「Webで集客する」方法は自前のWebサイト、SNS、Web広告、ECモール、ポータルサイト(予約・口コミサイト等)など様々です。ここでは「自前のWebサイト」に限定せず、全てをひっくるめた形でWebと既存の広告媒体と比較してメリット・デメリットをお話していきたいと思います。

それぞれのツールの詳細については次回以降の記事をご参照ください。先に読みたい方は以下のリンクよりどうぞ。

「既存の広告媒体」とは

この記事において「既存の広告媒体」は以下のものを指します。

  • POP広告(店頭の看板、ノボリ旗など)
  • 印刷広告(フライヤー、チラシ、名刺等)
  • ノベルティー(企業名や商品名の入ったカレンダーやボールペン等)
  • 屋外広告(ポスター、看板、大型ビジョン等)
  • 交通広告(駅貼りポスター・デジタルサイネージ、電車の中吊り広告等)
  • パブリシティ(テレビや雑誌などのメディアに取り上げられる)
  • メディア広告(テレビ、ラジオ、新聞、雑誌のCM・広告)

Webで集客するメリットとは

宣伝できるエリアや情報量が無制限なのに費用が安い

既存の広告媒体は宣伝できるエリアが限定的です。POPは店舗の前を通った人だけ、屋外広告や交通広告も設置している場所を通る人にしか情報は届きません。「だから効果が薄い」というわけではなく、「特定のエリアや属性の人に情報を届けることに特化している」と言えます。

パブリシティやメディア広告のようなメディアを介した情報も、そのチャンネルを視聴していない人、購読していない人には届きませんし、カバーしていないエリアも存在します。ローカルメディア(地方局・地方紙やコミュニティFM・コミュニティ紙)であればエリアも限定されます。ただしメディアで取り上げられることは誰にでもできることではないため、その時に直接情報に触れなくても「○○で紹介されました!」のような活用もできます。これを「権威性」と言います。権威があるもの(=限られた人しか取り上げられないメディア)に認められていることが、自分自身の権威にもなるのです。

既存の広告媒体はその媒体がカバーできるエリアや人の数とコストが比例する傾向にあります。チラシを刷って店舗近隣にポスティングするのと全国ネットのテレビCMを流すのを比較すればわかりやすいかと思います。パブリシティはコストはかからないかもしれませんが、そもそもメディアから声がかからないと発信することができません。

一方Web=インターネットは世界中に広がるネットワークです。Webはエリアを限定することなく情報を発信できるのにコストはテレビCMを流すより断然安価です。

また既存の広告媒体は伝えられる情報量とコストも比例していると言えます。雑誌のページ1/8の広告と1ページぶち抜きの広告では後者のほうが多く情報を届けられますがコストもかかります。15秒CMと30秒CM、モノクロのチラシとカラーチラシも同様のことが言えるでしょう。また1回しか流さないCMと何回も流すCM、1日しか読まれない日刊新聞と閲覧期間の長い月刊誌やムックのような雑誌を比較しても、情報に触れる機会や情報量に違いがあります。

一方Webに設置したコンテンツは削除しない限り24時間365日閲覧できますし、掲載する情報量にも基本的に制限はありません(Twitterの文字数制限や一部ホームページサービスのページ数制限、レンタルサーバの転送量上限など細かい話は一旦端折ります)。文字だろうが写真だろうが動画だろうが好きなだけ情報を発信をできてコストはさほどかかりません。

広告・宣伝ツールが無料/無料問わずたくさんある

既存の広告媒体、特にメディアはほぼ寡占状態であり選択肢が多くはありません。狭い市場に多くの業者が出稿枠を争うので自然と価格は高騰します。商品を棚の良い場所に置いてもらうためにメーカーが小売店に費用を支払っているように、枠は限られているのです。幹線道路沿いの広告看板や交通広告も掲載枠は有限で、出稿したくても枠が無い可能性もあります。

Web上の広告・宣伝ツールは冒頭に記載したように自前のWebサイト、SNS、Web広告、ECモール、ポータルサイト(予約・口コミサイト等)など様々な種類があり、且つ出稿枠の制限もありません。

中には無料で使うことができるものもあり、メディア広告の出稿費用の捻出が困難な個人事業主や零細企業であっても宣伝のための武器を手に入れることができます。

効果が見えやすい

既存の広告媒体は「広告を出したことによってどれだけお客さんが増えたか」を定量的に捉えることが難しいです。

雑誌や新聞の発行部数・購読数、テレビの視聴率やラジオの聴取率のような数値はこれらを定量化しようとして編み出された指標です。屋外看板にすらDEC(広告物の前の路上を通過する歩行者、二輪車、自動車等を人に換算して求める1日の有効通行量)という指標があります。

しかしテレビ番組の視聴率や看板の前の交通量が直接あなたのビジネスにどれくらい影響したかを明確に説明することは困難です(広告代理店はこれを定量的に示す数式を作り出して効果を訴求しています)。

Webの場合、検索ページに表示された数、ページに訪問した人の数、クリックした人の数まで正確に取得することができます。実施した施策の効果を定量的に図ることが可能なのでかけたコストに対して効果を正確に評価することができます。

Webで集客するデメリットとは

ここまでWebのメリットばかり取り上げており、これだけを読めば「既存の広告媒体なんかコストばっかりかかって時代遅れだ、これからはWebだぜ!」みたいな話に見えますが、実際そんなことはありませんのでしっかりデメリットも読んでいってください。

自分で仕組みを理解する必要がある

既存の広告媒体の最大のメリットは「お金を払えば基本的にはおまかせできる」ことです。広告のデザインや発信する情報に多少口を出すことはあるかもしれませんが、発行部数や視聴率は媒体側が作ってくれます。

WebサイトやSNSアカウントは作っただけでは誰も見に来ません。見に来てもらうための仕掛けが必要です。誰かが代わりに集客してくれることもありません。

「Web制作会社やWebコンサルタントに任せたらできるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、あなたが依頼しようとしている制作会社やコンサルタントにその能力があるかどうかをどうやって判断しますか?知人の紹介や本人が発信している実績を鵜呑みにしますか?

別記事でも書きましたが、Webサイトを作成することは簡単ですがWebサイトに集客することは難しいです。Webサイトに限らず、SNSもECモールもポータルサイトだろうと同じです(難易度やコストはそれぞれ違いますが)。提供されるサービスやツールを使いこなすことができるようになっても、集客には別のノウハウ=Webマーケティングの理解が必要であり、これが難しいのです。

何故難しいかというと、成功するための確実な手法が確立されておらず、施策が当たるかどうかはやってみないとわからないからです。正解が無い中で過去の成功事例を参考に試行錯誤していくしか道はありませんが、その事例があなたのビジネスに適しているという保証はありません。

外部に依頼するにしても、あなた自身がWebマーケティングについてある程度の仕組みを理解して判断できるようにならなければ、業者がやっていることの良し悪しも成功・失敗の基準や理由もわからず費用を浪費するだけになる可能性があります。自力でやるならなおさらです。お金がかからない代わりに時間と労力を浪費します。事業者にとってお金と時間と労力はほぼ同価値です。稼ぎを作りだせるはずの時間と労力が1円も産み出さないことに費やされてしまいます。

広告代理店は費用の代償として集客だけでなくあなたが本業に集中する時間と労力を提供してくれます。それに匹敵する価値を素人が簡単に作り出せるわけが無いのです。費用が掛けられないのであれば時間と労力を費やして仕組みを理解するしかありません。そうでなければただWebサイトやSNSアカウントを作っただけで特に集客は増えませんでしたという結果になります。副業アフィリエイターも同様です。WordPressでホームページを作る方法を知っているだけでは1円も稼げません。

正当に行われているビジネスにおいてその価格はほぼ適正な価値を表しています。高額な費用がかかるテレビCMや雑誌広告と同等の価値が、無料のWebツールだけで獲得できるわけがありません。お金の代わりに時間と労力を使って補わなくてはいけないのです。

Webマーケティングの仕組みを学んでいなくてもSNSでフォロワーを増やしたり口コミサイトで評価されることが得意な人もいます。その人たちはマーケティング的にも理にかなった行動を取っているのです。「理にかなった行動」を理解した上で集客を行えればWebは強力な武器になります。理にかなった行動の理解=Webマーケティングの理解なのです。

仕組みを理解することを放棄して人任せにする人にWeb集客は向きません。


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