WordPressでWebサイトを作成しようとする時に一般的に必要になるのがレンタルサーバーとドメインです。WordPressでのWebサイト作成は費用がほとんどかかりませんが、その大部分はこのレンタルサーバーとドメインの契約です。
レンタルサーバーとドメインとは
技術的な難しい説明はできるだけ省略していくつもりなのですが、「契約が必要と言われても何で必要かわからないものにお金を出すのは気持ちが悪い」という方もいるかもしれないので少しだけ説明します。
私たちが日ごろ目にしているWebサイトはWebサーバーに格納されています。「サーバーって何?」という方は「でっかいパソコン」くらいに思っておいてください。WebサーバーはWebコンテンツを配信するためにインターネットに公開されたサーバーです。サーバーの中にはWebサイトで表示されるhtmlファイルや画像・動画、Webサイトを制御しているプログラムや設定ファイル、Webサイトで表示されている情報を格納したデータベースなどが格納されていて、ChromeなどのWebブラウザを通じてWebサーバーにアクセスすることでWebサイトが表示されます。
Webサーバーは世界中に無数に存在しているので、見たいWebサイトがどこのWebサーバーにあるかわからないとたどり着けません。そこで「このWebサイトはこのWebサーバーにありますよ」という名前の情報が必要になります。これがドメインです。図にあるような「〇〇〇〇.com」のようなものをドメインと呼びます。みんなが好き勝手にドメインを名乗ってしまうと同じ名前のドメインが発生して結局行き先がわからなくなってしまいます。だからドメインは国際的なルールで管理されています。
Webサーバーはその気になれば自力で構築することもできますが、個人のWebサイトを1つ作るためだけにサーバーマシンを購入したりインターネットに公開したりするのは費用も手間もかかります。だからレンタルサーバーというWebサーバーを借りる仕組みがあるのです。
ドメインの取得もルールに基づいた手続きや維持管理など大変煩雑です。そのためドメイン取得代行業者(ドメイン業者)にドメイン取得と管理を依頼するのが一般的です。
レンタルサーバーを選ぶ基準
とはいってもレンタルサーバーなんてこれまで使ったことも無いし、何を基準に選んでいいかわからない、という方も多いでしょう。
レンタルサーバーを選択する基準は大きく4つあります。
- 安定性(稼働率)
- 性能(処理速度、通信速度)
- 容量(ディスクサイズ、データ転送量)
- 料金
安定性(稼働率)
まず安定性についてです。
サーバーも機械なので故障しますし、ネットワークなどのインフラも100%絶対に止まらないということはありません。しかしせっかく作ったWebサイトが頻繁に閲覧できなくなるのは困ります。特にECショップなどを運営したい人にとってはWebサイトの停止は販売機会の損失になります。
こうした事態を避けるためには機器の分散や多重化によって1つの機械が故障しても閲覧に支障が出ないような対策が必要です。対策が十分に行われて結果予期せぬ停止を起こしにくいレンタルサーバーが優秀だと言えます。
ちなみにレンタルサーバーの売り文句に「稼働率99.99….%」みたいなのがありますが、これは予期せぬ停止が起こらない確率のことです。9がいっぱい並んでるので「ほぼまったく停止しない」と感じてしまいますが、例えば稼働率99.9%でも年間で合計して8時間程度は停止することになります。
直近の稼働率だけでなく、過去に遡って何年も安定的な稼働を提供しているレンタルサーバーは安定性が高いと言えます。
性能(処理速度、ネットワーク速度)
次に性能についてです。Webサーバーの性能は「Webサイトのページをいかに素早く表示することができるか」です。
URLをクリックしたのになかなかページが表示されないと閲覧を諦めてしまう人もいます。表示が遅い原因はWebサーバーだけではなく利用者側のネットワーク環境や表示しようとしているコンテンツのサイズなども影響しますが、同じ動作環境なのにあるページの表示は早いのにあるページは遅いとなるとサーバー側の性能が影響しているかもしれません。サーバーやパソコンの性能は処理速度で表されます。
またサーバーからインターネットの接続点までのネットワーク速度もレンタルサーバー業者側の提供する性能の一つです。どんなにサーバーが高性能でも、高速なインターネット回線を使用していても、サーバーからインターネット回線までの間の経路が低速なら結局通信速度は遅くなります。
ちなみに私は企業が利用する業務システム開発を長年やっているので、「サーバーサイドで複雑な処理なんかほとんどしてないテキストサイトごときのレスポンスでグダグダ抜かすな、こちとら100万件超のデータから情報抽出して演算結果を返却するためにデータベースやSQLのチューニングしたりプログラムロジック弄ったりして0.1秒単位のレスポンス削り出してんだ」という気持ちになることもありますが、快適な閲覧環境を提供することはWebサイトを見に来てくれる人にとって重要な要素なのです。
容量(ディスクサイズ、データ転送量)
次は容量についてです。業者やプランによって大きな違いが出るのがここでしょう。
ディスクサイズは言わずもがなで使えるストレージ容量のことであり、大きいほどたくさんのファイルやデータを保存できます。
データ転送量とは「一定期間に通信できるデータ量」のことです。レンタルサーバーのデータ転送量は、管理者自身がWebサーバーにアップロードするファイルサイズと閲覧者がWebサイト表示時にダウンロードするファイルサイズ等の合計です。
例えば1日のデータ転送量が10GBのレンタルサーバーでファイルサイズ10MBの写真を10枚貼ったページを公開した場合、そのページを100回閲覧されるだけでデータ転送量の上限に到達します(わかりやすいように1GB=1024MBではなく1000MBで計算しています)。
多くのレンタルサーバーではデータ転送量が上限に到達すると転送制限がかかります。1日たった100回閲覧されただけで転送制限がかかってWebサイトが見えなくなられたら困ります(だから10MBの写真ファイルをそのまま張り付けてはいけないということでもあるんですが)。
データ転送量が小さすぎるとコンテンツ作成時にアップロードするファイルサイズによって転送量を圧迫することまで気に掛けなければいけませんし、閲覧数が増えた時に俗にいう「サーバーがダウンする」ような症状が発生する可能性もあります。「そんな大量に閲覧者が来るわけないから」と思うかもしれませんが、大量に来た時に閲覧できない状態になればそれも機会の損失になります。ある程度データ転送量に余力のあるレンタルサーバーを選びましょう。
料金
最後は料金です。上記の要素を全て潤沢に満たそうとすれば料金は高くなります。企業などのビジネス利用のためのレンタルサーバーは安定性、性能、データ転送量が保証され、尚且つ手厚いサポートを受けることができるため料金が高いのです。
個人利用や小規模事業者の場合、そこまでのサービスは求めないけど頻繁に止まったりあまり遅すぎたりしない手ごろな料金のレンタルサーバーを選ぶのが良いでしょう。
おすすめのレンタルサーバー
そうはいっても結局どこを選べばいいのかわからないという方に、おすすめのレンタルサーバーをご紹介します。レンタルサーバーは多数ありますが、個人利用や小規模事業者であればほぼ以下の2択になるのではないかと思います。この2つより料金が安いサービスもありますが、上記の指標(安定性、性能、容量)に対するコストパフォーマンスが群を抜いているためよほどに厳しい費用の制限が無い限り以下の2つのどちらかを選択しておくべきでしょう。
XSERVER
1つ目は私も使っているXSERVER
2003年からサービスを提供している老舗レンタルサーバーで、多くのWebサイトで利用されています。
上記の基準に照らし合わせると、安定性は稼働率99.99%以上で長期にわたって大規模な障害も発生していません。性能は48コアCPU&512GBメモリの高性能サーバーに高速ストレージや大容量バックボーンネットワークなど充実したインフラにより快適なレスポンスを実現しています。容量は最も安いX10プランでストレージ200GB、データ転送量1日150GBと余力が大きく、1つのレンタルサーバーで複数サイトを運営することも可能です。料金は契約期間によって変動しますがX10プラン1年契約の場合で月1,000円程度とリーズナブルです。また不定期に行われるキャンペーンでは利用料が大幅に割引になるなどのサービスもあります。
WordPressをはじめるのにお薦めなのが「WordPressクイックスタート」という契約です。サーバー契約、ドメイン取得、WordPressのインストールまでが全てコミコミで、この後の記事で説明する「ドメインの契約」と「WordPressのインストール」まで全てやってくれるお得なパックになっています。
上記以外の要素としては独自SSLが無料(URLをhttp⇒httpsにして安全な通信を確保すること。通常SSL化は証明書取得等で料金が必要な事も)だったり、管理コンソールから簡単にWordPressインストールができたり等使い勝手も非常に良いレンタルサーバーです。
利用者数が多いので、(2020年5月時点で運用サイト数は国内最多の180万以上)ノウハウが多数公開されているというのも心強いです。ちなみにこのサイトで紹介するレンタルサーバーの操作画面も、私が使っているのでXSERVERのものを使用しています。
ConoHa WING
もう一つのおすすめはConoHa WING
ConoHa WINGは2018年にサービスを開始した比較的新しいレンタルサーバーです。その特徴はなんといっても国内レンタルサーバー最速と言われる応答速度です。ストレージはオールSSD RAID10構成、強力なキャッシュ機能、高速実行環境などによりベンチマークテストで国内シェア率トップ10サービスの中で2位に2倍近い差を付けた1位という圧倒的な速度を実現しています。
レスポンス=性能以外の基準については、稼働率99.99%以上はXSERVERと同じです。運用開始から期間が短いとはいえ運営しているGMOグループは他にも多数のレンタルサーバーの運用実績のある企業のためそこは安心してよいと思います。容量は最も安いベーシックプランでストレージ250GB、データ転送量月6TB=1日約200GBとかなり余力があります。これだけついてベーシックプラン1年契約の場合で月1,200円程で、レンタルサーバーに永久無料ドメインが1つ付いてくる「WINGパック」であれば月額はさらに安くなって810円と破格の安さです。ちなみにバナーの「月額400円」はベーシックプラン36か月(3年)利用の場合の月額換算料金で、支払いは一括前払いなので14,400円になります。
独自SSLや初心者にも使いやすい管理コンソールなどの機能もそろっており、トップのXSERVERを猛追しています。
【WordPressサイトのはじめかた】記事一覧
その1 | レンタルサーバーの契約★本記事 |
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その2 | ドメインの契約と設定 |
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その3 | WordPressインストールと管理画面ログイン |
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その4 | テーマインストールとサイト基本設定 |
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その5 | Webサイトになければいけない機能とページ |
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その6 | プラグインのインストールとカスタマイズ |
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その7 | 記事作成の注意点 |
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